Sweet Pink


繋がることが出来たなら、生まれ変わることが出来たなら。
私は悪魔と契約したって良い。

あなたと繋がることが出来たなら・・・。



あなたは今日も、その綺麗な顔を緩ませながら駆け足で駅に向かっていったわ。
私にありがとう何ていうのよ。私泣きたくなったわ。
でも笑って手を振ったわ。お幸せに、とまでは言えなかったけれど。
あなたが私の選んだピンク色のワンピースをはためかせながら走っていく後ろ姿を眺めながら
私は切実にこう思った。

「私とは住む世界が違う」

まるでシンデレラか何かを読むような感覚。
素敵だと思うと同時に、私にはとうてい無理だろうという変な敗北感。
そうよあなたは綺麗だわ。心の中まで綺麗だった。
何の飾りもなく光っていける。
私とは、全く違う。

一人とぼとぼあなたとは別の方向へと歩きながら、私は泣きそうになっていたわ。
だってあなたの隣にいたかったのは誰よりも何よりも私だったの。
それなのに、きっとあなたは別の人の隣にいるわ。
そうよ、だって私がそうさせたんだもの。だからこんな事を思うのはおかしいのに。
・・おかしいのに、私は気持ちを止めることが出来ないの。
変でしょ。変なのよ。だから罵って欲しいわ。
変だ嫌いだと罵って欲しいわ。でもそれは無理ね。
だってあなたは綺麗な人だから。誰かを罵るなんて絶対にしないわ。


「私、あなたと友達で良かったわ」

友達、だなんて思ったことは一度もなかった。
それは現在進行形でそうなのに。
だけどあなたは私のことを『一番の友達』だと思っている。
私が一番なりたくなかった、あなたの『一番の友達』。
それに今私はなっているのね。何ででしょうね?
ああ、でもそれもきっと私がしたことなんだわ。私がそうしようと思ってしたことなんだわ。
私って何て趣味なんでしょうね。自分を傷付けたいだけなのかもしれないわ。
だったらこんなに悲しいハズないのにね。馬鹿だわ、涙が出てきてしまいそうなの。

ねえ 今同じ時間が誰にでも平等に流れているなんて、嘘ね。
そんな馬鹿なことあるわけ無いわ。
だって私、今あなたと同じ世界を生きている気がしないの。
同じ空の下を歩いている気がしないのよ。
あなたとあなたの好きな人は、ずっとずっと私とは別の世界を歩いていくんだわ。
誰にも邪魔をされず幸せに幸せに歩いていけるんだわ。
それでいいのよそれで良かったの。だって私がそれを望んだんだもの。
望んだのよ。



「望んだのよ・・」






ああ





嫌だわ





私あなたの言ったとおりいい女でいたいの。
綺麗で格好良くて素敵で大人で。
そんな女でいたかったの。
そしてこうも思ったわ。
あなたが私をほめてくれるのなら、私は『一番の友達』でもいいって。
あなたが傍にいてくれるのなら、私はなりたくないものにもなれるって。

そのためには泣かないって決めたの。
だって格好悪いじゃない?

私はもっと強くて、あなたを守るって
そう思ったのよ。


思ったのに。





ああ







今気付いたわ




「格好悪くても良いわ・・・」







私はあなたの世界で生きたかったんだわ。



あなたの世界であなただけを見つめて
あなたも私の世界で私だけを見つめて





繋げる事が出来ない私だから
あなたはあなたの好きな人となら繋げるから。
手だって心だって何だって。

私は何も繋げない。
手だって心だって言葉だって体だって何だって。


あなたには何もしてあげれない。
守ることさえ無理なんだわ。
眺めることさえ無理だったのかもしれないわ・・・。





さよならをしなくちゃいけない。
そう思ったわ。

一人。
あなたとは別の方向を歩きながら、ひっそりとそう思ったわ。

私のこんな寂しい世界と
あなたとあなたの好きな人の幸せな世界と



「・・・・・さよなら。私の愛しい・・・」





end